歯列矯正といえば、以前は子供が中心でした。しかし、いまでは成人の患者さんが増え、子供と変わらないほど相談に来られるようになりました。成人と言っても、ほとんどが女性です。いくつになってもキレイでいたいと思う女性の意欲に感心するとともに、『女性を笑顔にさせる』が、この日本を元気にさせる鍵になるのではと思っています。
『オートクレーブ』
さて、その中でも年配の女性から決まって受ける質問が、「自分のような年齢でも矯正治療できますか?」ということです。基本的に矯正治療に年齢制限は無いとされています。歯は生きている限り動くからです。ただし、それは誰でも治療可能という意味ではありません。
例えば、歯周病の進行や奥歯の欠損といった場合に、治療が不可能になる可能性があります。歯周病とは歯を支えている歯周組織にかかわる病気のことを言います。歯を支えている歯槽骨にまで病気が波及し、著しい骨の減少が認められると、矯正治療により更に減少してしまう可能性があります。場合によっては、歯の寿命が短くなり、抜けてしまうかもしれません。当然ながら、歯周組織の健康を害してまでやるべきでないのです。
しかし、歯周病の人全てが矯正できないと言うわけではありません。成人の80〜90%は歯周病に罹患していると言われていますので、それでは成人のほとんどが矯正できないことになってしまいます。歯周病でも、病気が歯肉に限局している場合や、骨の減少が軽度のもの、歯周病医により管理がされているものなどは十分に治療が可能になります。
次に、奥歯が欠損している場合のことをご説明致します。前歯を後に動かす場合、奥歯にその反作用がかかります。奥歯がその反作用に耐えてこそ歯列矯正が可能になり、この反作用に抵抗する源のことを固定源と言います。つまり、固定源がないと矯正治療はできないと言うことになります。奥歯が無いのに、出っ歯や受け口を治そうと思っても、それは非常に困難と言うことになります。ただし、最近は、歯の代わりのインプラントを先に植立し、それを固定源として歯を牽引する方法も行われており、治療できる可能性は大きくなってきています。
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