「歯磨き実習」で虫歯激減 岐阜・郡上市の和良中
岐阜県郡上市の市立和良中学校で生徒が歯科診療所の指導を受け、保育園児に歯磨きを教える実習授業が旧和良村時代の13年前から続いている。歯の大切さを学んだ生徒の虫歯本数は劇的に減少、地域医療の成功例として脚光を浴びそうだ。
2004年に誕生した郡上市に編入された旧和良村。1955年に「予防を主、治療を従」とする医療方針を決め、以降、無料のがん検診など予防医療を推進。00年には、厚生労働省の市町村別統計で男性の寿命が日本一になったこともある。
実習は97年に始まり、国保和良歯科診療所が力加減とブラシの使い方だけを生徒に伝授。生徒は自分たちで準備した紙芝居や劇で虫歯の害や正しい磨き方を園児に教え、実際にひざ枕でブラッシングも指導する。
3年生の1学期中、実習は毎週1回行われ「親になったら生かしたい」と話す生徒も。診療所によると、同校生徒の虫歯の平均本数は94~96年、2・4本だったが、06~08年には0・8本まで減少した。診療所は実習の効果とみている。『
歯科用タービンハンドピース』
旧和良村では診療所と住民が一体となり、乳幼児から高齢者まで世代に応じた口腔(こうくう)ケアに取り組んできた。こうした活動の中で南温(みなみ・あつし)所長がかむ力を維持することで食欲が増進、摂取カロリーが増え長寿につながると分析。乳幼児期から正しい磨き方を身につけることが重要と実習を考案した。
南所長は「何十年も続けるうちに地域住民の歯に関する知識も向上するはず。『三つ子の魂百まで』の精神で実習を続けていくことが大切だ」と話している。
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