ほどほどの量のお酒が口腔機能に影響を与えることは少ないと思われます。しかしアルコールの過剰摂取を継続すると次第に身体機能が低下してきます。それに伴い口腔衛生の低下や唾液分泌の異常などが起こりやすくなります。その結果として口腔環境が悪化し歯科疾患に罹りやすくなり食機能の低下が懸念されます。
アルコールを適正に飲酒しているかぎり、口腔機能に影響を与えることは少ないと思われます。しかしお酒を飲みすぎるとノドが非常に乾いたり、口の中がネバネバしたり、飲んだあとや二日酔いの時に歯を磨くと吐き気がするなどの経験をお持ちの方も多いのではないでしょうか?
アルコールには利尿作用がありますので、飲酒することによって身体の水分量が不足していくため、ノドが乾き口腔が乾燥状態になります。また飲みすぎると胃酸の逆流などによって、気持ちが悪くなり吐き気が起こります。これらの身体環境が歯や歯肉に大きな影響を与えます『
歯科材料』。
たまの飲みすぎくらいでは問題ありませんが、問題となるのは過剰なアルコール摂取が続きアルコール依存症に陥ってしまうような場合です。アルコール依存症では、飲酒のコントロールができなくなって通常の生活・食生活が崩壊し、お酒中心の生活となります。次第に病状が悪化すると食事も摂らず、酒しか受け付けなくなり衰弱してしまいます。その過程において身体機能が低下し、水分も十分に補給されないため、唾液不足・口腔乾燥が起こり、う蝕(むし歯)や歯周炎などの歯科疾患が発症しやすくなります。
1. アルコール依存症者の口腔内の実態
アルコール依存症者の平均う蝕歯数は6歯で、これは一般平均の3倍を示します。
人間の歯数は通常28歯で、親知らずを含めても32歯しかありません。
通常高齢者に発症する下顎前歯部や歯頸部(歯の付け根部分)のう蝕が認められます。
前歯の損傷や口唇の外傷を多く認めます。
口腔衛生の低下により食物残渣、歯垢、歯石が付着しています。
歯周炎を調査したほぼ全ての人にその存在が確認されます。
なかには悪化してグラグラしている歯があったり、自然に抜け落ちていることもあります。
口臭を自覚していない場合が多いようです。
う蝕や歯周炎による痛みや歯が無いため、食機能が低下しているケースがあります。
痛みなどの問題を自覚しながら、歯科受診をせず放置したままの人もいます。
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