いまはできるだけ残す治療が主流。
「以前は、むし歯の再発を予防するためと、詰め物が落ちないようにするために、広範囲を削るのが常識でしたが、いまは材料が改良されたので最小限の範囲になってきました」と、高浜デンタルクリニックの田沼敦子先生。詰めたり、かぶせたりする処置は、ときにはかみ合わせが狂ったり、歯周病の危険を増したりするので、よい歯科医はできるだけ元の形に残すことに配慮する。歯髄(神経)も取らないに越したことはない。残すと沁みで痛くなることもあるが「私もできるだけ残します。神経を取った歯は枯れ木と同じ。冷たさ、温かさはもちろん、食べ物のおいしさを感じるのも、神経があってのこと」。
「レーザー治療というと、ほくろや痣などを取るために、整形外科などで使われているのはご存じかもしれませんが、歯科でも応用されています」と田沼先生。このレーザーが歯科の治療に適しているのは、初期のむし歯や知覚過敏など。いままでだと、削って詰めなければならなかったむし歯も、冷たいものを口にしたときに沁みてたまらないあの知覚過敏も、レーザーの照射で症状がおさまる。「これが発展していって、歯の構造を変えて、むし歯にならないようにすることもできるかもしれませんね」。そのほか、痛さに敏感で歯科医恐怖症、という人のために低濃度の笑気ガスを鼻から吸わせる鎮静法がある。「時間がかかるので私はいま、やっていませんが、夢心地のなかで治療が終わるので、患者さんには福音ですね」。いま1割くらいの歯科で導入しているので、探してみるのも手かもしれない。
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