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歯ブラシ探訪 「ようじ(楊枝)」の起源「歯木(しぼく)」

我が国の「ようじ(楊枝)」の起源は,古代インドの「歯木(しぼく)」にあるといわれている。
古代インド
「歯木(しぼく)」は,紀元前500~600年のインドにおいて利用された木の枝の一端を咬砕によりブラシ状にほぐしたもので,「歯ブラシ」の原形とも称される清掃用具である。
歯木
当時のインドにおいては,1)宗教(仏教),2)医学の両面より,「歯木」の意義が説かれた。
1)宗教(仏教)『歯科用 バー
釈迦は仏前で読経する前に手を洗い,木の枝(一説には菩提樹の小枝を用いたとされるが不明)で歯を清掃(浄歯)することを弟子に指導し,その五徳を次のように説明した。
①口臭を取り除く
②食べ物の味がよくなる
③口の中の熱を取り除く
④たんを除く
⑤目がよくなる
この教えは信仰者の心得の第一条であり,一戒律として伝えられたとされる。
2)医学
古代インドの大医スシュルタ(B.C.600~500,釈迦と同時代)の著わしたスシュルタ本典(医書)の24章には「朝は早く起きて歯を磨かなければならない」と記され浄歯の重要性を説明している。また,これに用いる用具についても細かな説明が付記され,「歯を磨くには虫食いのない新しい木を用い,その長さは12指ほどで,小指の太さくらいの節のない灌木で収斂製性,苦み,甘み,刺激性のあるもの」とされていた。
このように古代インドにおける「歯木」による浄歯の習慣は,宗教上の儀礼として,また,日常生活の保健衛生の一つとして深く,広く定着したとされる。
「歯木」は梵語でダンタカーシュタdantakasthaといい,dantaダンタは歯,kasthaカーシュタは木片の意で,歯-木,文字通り「歯木(しぼく)」とされる。
以下,英-英訳。
1)英-英
दंतकाष्ठ - dantakastha [ d'anta-kASTha ] n 
. a small piece of the wood ( of particular trees
) used for cleaning the teeth 
なお,「danta」は「dental(歯)」の語源になったといわれている。
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無歯顎の”推移” −平成23年 歯科疾患実態調査ななめ読み−

平成23年歯科疾患実態調査では,無歯顎(歯をすべて喪失した顎)について,1981年(昭和56年)から平成23年(2013年)までの調査結果をまとめてデータ化してある。
今日は先の「全部床義歯」についての補完の意味で,この「無歯顎」について見てみてみる。
■無歯顎者の調査年次推移
1981年(昭和56年)から2013年(平成23年)までの各調査年における年齢階級別の無歯顎者の割合(各年齢階級別の調査対象者総数に対する割合)を下グラフに示した。
調査年が新しくなるにつれ,各年齢階級においても無歯顎者の割合は減少し,折れ線のグラフはきれいな線形グラデーションを示している。
平たく言えば,残存歯を有する人が増え,無歯顎の人が少なくなってきていると言うことだ。
スライド1
年齢階級:80ー85歳における各調査年の無歯顎者の割合を下図に示した。
右肩下がりに減少していることがわかる。
スライド2
スライド3
上図は昭和56年(1981年)と平成23年(2013年)における年齢階級別の無歯顎者の割合を示した。
無歯顎者が増加する年齢階級は昭和56年では35-39歳,平成23年では55-59歳であり,年齢階級80ー85歳における無歯顎者の割合は各々65.3% 21.3%であった。
この約30年の間に歯の無くなる時期が20歳も遅れ,また,80ー85歳の時点ではその比率がおよそ3分の一に減少している。『歯科用オートクレーブ
歯科領域で一般的に公表される年次推移のデータとしては,”残存歯数がこれだけ増えました”というものが多い。よって,このように無歯顎者の推移に絞って見てみると,かなりドラスティックな減少をしている印象を受ける。
この飛躍的な改善結果は,国民の口腔に関する健康意識が高まったこと,さらに我々,先達の人たちの努力の賜であると思われる。 

縄文人の歯はよく磨り減っている

特徴的な顎の形態、虫歯や骨欠損等などの様子も見受けられるが、
まず、目立つのが歯の「咬耗(こうもう)」である。
咬耗の説明をする前に、
歯の模式図を上記サイトより再びお借りし、一般的な歯の構造を少しおさらいしておきたい(便利だ)。
歯はエナメル質、象牙質、セメント質、歯髄の組織からできている。歯が口の中に露出している部分を歯冠、歯冠より下の部分を歯根という。その歯の中心部には、一般的に神経と呼ばれる歯髄が通ってる。歯にかかる衝撃を受け止め、あごにかかる力を吸収・緩和するために、歯根部分の表面(セメント質)と歯槽骨は歯根膜という繊維性の結合組織で結びついている。歯は歯槽骨、歯肉、歯根膜の支持組織によって支えられている。
咬耗とは、
歯と歯あるいは歯と食物の接触によって生じるもので、純粋にエナメル質と象牙質のすり減り状態(物理的な損傷)を指す。さらに咬耗は、日常の咀嚼作用や口を閉じた際の歯の接触による「生理的咬耗」と、いわゆる悪い癖となった歯ぎしりをする人にみられる「病的咬耗」に分類される。なお,生理的咬耗では68μm/年程度,病的咬耗では300μm/年の損失がみられるという。
ちなみに1μmは、0 .001ミリメートルである。『LED照射器
画像を眺め,ざっと見積もってみても30~40㎜程はすり減っており、歯髄が一見露出したところも散見される(歯の中央部でやや黄みがかって見えるのは象牙質)。
綺麗な咬頭を有する人工歯を用いた顎模型と比べてみると、その違いは明らか、その削れ度合いの大きさがよくわかる。
少し調べてみたところ,この遺骨は妙音寺遺跡(埼玉)から出土されたもののようで,縄文時代早期,壮年の男性といわれている(国立科学博物館 「日本人はるかなる旅展」:
壮年は40~60歳を指すので,もし,現代人において,このような咬耗状態を呈していれば,なんらかの問題,習癖,慣習等があると,我々歯科医は診ると思う。
後述する予定であるが,
この縄文人の骨,たしかに下顎骨だけをみても,噛む力はかなり強大であったと推察される。
こうなると,その生活習慣,特に食生活がどのようであったのが気になってくる。

九州歯科大がベトナムに医療チーム派遣

九州歯科大(福岡県北九州市小倉北区)の冨永和宏教授(55)ら歯科医療チームが昨年12月下旬、生まれつき上あごや上唇が割れている「口唇口蓋裂」に悩む途上国の子供らへの手術ボランティアとして、ベトナム・ベンチェ省を訪問し、手術を行った。
 同大では個人の派遣は10年ほど前からしているが、チームでの派遣は今回が初めて。冨永教授は「患者さんが普通の人生を送る手伝いができればうれしい」と話している。
 日本口唇口蓋裂協会(名古屋市)の医師団に参加する形でベトナムに行った。同協会は、1992年からベトナムやモンゴル、エチオピアなどにボランティアの医師団を派遣しており、これまでに約4000人の患者を治療してきた。今回の派遣には全国の13の病院、大学から約40人が参加し、昨年12月21~30日の日程で訪問し、生後3か月~60歳までの約60人を治療した。『虫歯診断装置
 チームは、冨永教授のほか、麻酔科医の渡辺誠之教授(53)、土生(はぶ)学助教(39)、看護師の立花香織理さん(33)で組織。冨永教授は10年から3年連続での参加で、土生助教も3年ぶりに加わった。同省の総合病院の手術室で、12人の手術を行った。
 現地では、右側の眼球やほお骨がない16歳の女性に、傷痕を隠すことができる特殊な眼鏡も贈った。冨永教授は「引っ込み思案な女性だったが、明るい笑顔を見せてくれた」と振り返る。
 土生助教が3年前に治療した女の子がお礼に訪れ、1輪の花を手渡してくれる一幕も。土生助教は「覚えてくれていて、うれしかった」と笑顔を見せる。
 冨永教授は「回復を喜び、頼りにしてくれることにやりがいを感じる。今後も、必要とされることをやっていきたい」と話している。 

根管治療歯は時限爆弾?

患者は、上顎側切歯にX線所見で不適切な根管治療と大きな根尖歯周病変が認められた40歳女性である。作業長に達するまで手用Kファイルで#60から#45までクラウンダウン法、根尖は#50Kファイルのあと#80Kファイルまでステップバック法で拡大・形成した。5.25%NaOClで清掃、EDTAとNaOClでスメア層を除去、酸化亜鉛/ユージノール系シーラーとガッタパーチャで根充、コンポジットレジン修復した。根充後大きな側枝が認められた。2年後の診査では根尖部はほぼ治癒し、側枝と根尖から逸出したシーラーはほとんど吸収されていた。9年後では根周囲は健全となり、逸出したシーラ-は根尖では消失していたが、側枝ではわずか残存していた。ところが12年後、無症状ではあるが根周囲に疾患再発を示すX線透過像が認められた。今回は、根尖外科処置を行うこととし、歯根端切除、MTAを逆根充した。
採取した生検試料を調べたところ、炎症性根周囲病変は肉芽腫であり、側枝周辺の主根管の象牙細管および側枝壁の細管に重度の細菌感染が認められたが、象牙細管感染領域の根尖側あるいは歯冠側やそのほかの領域には細菌は検出できなかった。側枝内腔には壊死組織と混じりあったシーラーが存在した。X線的に適切に充填されていたと考えられる根尖部に炎症性組織の内方成長が認められた。再発炎症疾患の原因の可能性として考えられる、歯根破折、コロナルリーケージあるいは異物反応ははっきりしなかった。
この再発疾患についての著者らの見解は次のようになっている。初期疾患は化学・器械的処置により治癒可能なレベルまで細菌は減少して治癒した。しかし、象牙細管内の細菌は影響を受けることなく長年生存し続け、何らかの理由により増殖して周囲生体組織にアクセス可能となり、炎症を引き起こしたと考えられる。その理由ははっきりとはしないが、根充での封鎖が不十分なため、根管内に液体が浸潤したためと思われる。根尖や側枝から逸出したシーラーのみならず、主根管根尖部や側枝のシーラーも溶解あるいは吸収された。根尖部での炎症組織や側枝での壊死組織の存在は根充の封鎖が不十分であったことを示唆している。
シーラーの分解あるいは充填物中の小さな空洞が漏洩の道筋となり、そこから根周囲組織液が細管内に残存している細菌に到達し、栄養を与えることができる。その液体は感染部位に到達して炎症性の細菌産生物で濃厚になるであろう。根尖根管セグメントには細菌は存在しないことから、根管内にある液体が細菌産生物を根尖あるいは側枝に運ぶ役割を果たし、歯周組織に炎症を引き起こすことが可能となる。多分このプロセスは非常に緩慢であり、病変として認められるのに12年を要したということであろう。通常の処置で象牙細管内細菌を除去するのはほとんど不可能であり、長期の良好な予後のためには、細管内殺菌を考慮した抗菌戦略を促進すべきである。
本報告からの重要な教訓に側枝に関することがある。X線的にみて側枝が充填されていても、押し込められた充填物は壊死組織と混じりあっているため良好な充填とはなっておらず、また空洞も存在し、適切な封鎖は期待できない。側枝に残存する壊死組織は細管内細菌の栄養源ともなり得る。いずれにしても、このような分岐の清掃と消毒ができるような方法の開発に努力すべきである。最後に著者らは、長期の良好な治療成績を得るには、根管システムの適切な消毒の達成が重要であると強調している。

パルスオキシメーター
この報告を読んでの筆者のコメントである。著者らは殺菌・消毒の重要性を強調しているが、それで十分なのかという疑問である。12年後に再発したのは根充での封鎖が不十分であったためと著者らは考えているが、逆にいえば、封鎖十分であれば再発しなかったということになろう。もしそうであれば、殺菌・消毒よりも根管封鎖の重要性をより強調すべきであろうと思われる。
根管が完璧に封鎖され、細菌への栄養補給が途絶えれば細菌は生き延びようがなく、多少細菌が根管内に残存してもそれほど問題にならないと考えてもよいであろう。79回コラムでは歯冠部の封鎖が完全であればう蝕の進行を止められることを記したが、根管でも同様なことを示唆したいのである。そのコラムの締めくくり部分を転記しておこう。“修復物により完全に歯質が封鎖されて栄養源を断たれると、細菌は死ぬか休眠状態となり、歯の健康へのリスクとはならなくなる。したがって、修復物が口腔環境からう蝕をよく封鎖できていれば、深在性う蝕での感染象牙質をすべて除去する必要はない”。 

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