「インプラントには,取り外し式の義歯のように味覚異常あるいは味覚障害を起こすことがありません。」『
ダイヤモンドバー』
歯の抜けたアゴの治療において,インプラントと義歯との利点・欠点の比較でよくみかける説明文です。
ネットで「インプラント 入れ歯 味覚障害」と検索をかけてみると,この表現を用いたページがたくさん出てきます。
以前のエントリー(歯科治療と味 「入れ歯」と「味わい」と「慣れ」)で触れたように,取り外し式義歯における味覚障害の大半は,その適合の度合いと慣れに起因するので,義歯治療により必ず起こるわけではありません。
では,インプラント治療では味覚の異常や障害はみられないのでしょうか?
(正直なところ,後に説明するケースを経験するまでは,私もないものと思っていました)
以下,半年ほど前に経験したインプラント治療で味覚の異常を認めたケースの概要を示します。『
ハンドピース』
流れ
患者さんは他の歯科医院よりインプラント治療のため紹介来院された女性の方です。
全身疾患やアレルギーの既往はなく,また,虫歯や歯周病もみられず,お口の清掃に関して非常に熱心に取り組んでおられ,診療にも協力的な患者さんでした。